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1,413 文字 約 4 分

狂気なドロドロの醜いグロ恋愛エロゲー「沙耶の唄」プレイ感想

あらすじ

医大生の主人公、匂坂郁紀は交通事故で生死を彷徨い、最新の脳外科手術で一命をとりとめた。しかし、手術の後遺症で、彼の知覚は完全に狂ってしまった。
目に見える景色は腐った内臓のような肉塊に覆われ、食べ物は腐肉の味に、そして人間はおぞましい化け物にみえるようになってしまった。

絶望し、自殺すら考えていた郁紀の前に、唯一美しく、清らかな少女として見える存在が現れた。それが沙耶だった。

化け物だらけの世界で唯一人間に見える沙耶に、郁紀は依存し、二人は異様な共同生活を始める。しかし、郁紀にとっての天使である沙耶の正体は、この世界における異形の生物だった。

郁紀が彼女のために行う献身は、周囲から見れば凶器の沙汰。殺人、監禁、カニバリズム…

世界がくるっているのか、自分がくるっているのか、 愛する沙耶を守るため、郁紀は日常を、そして人間としての倫理を破壊し、引き返せない破滅へのみっひを突き進んでいく。

感想

短いかつ濃厚なストーリー

沙耶の唄は4時間でクリアできた。私は読むのが早いほうなので、平均は4時間半だと思う。ノベルゲームとしてはとても短い。
だが、短くてもストーリーは濃厚。グロシーン、エ口シーン、そして主人公の葛藤。
R18ゲームでないと、このグロ要素と、凶器の沙汰は表現できないであろう。
一応言っておくが、短いからと言って気軽にプレイできる作品ではない。
まず、最初の画面からグロシーンがある。グロクナイところを見つけることが難しいほどだ。

本作の凄さは、単にグロテスクな描写があることではなく、それが主人公・郁紀にとっては「日常の風景」であるという点にある。私たちが吐き気を催すような肉塊の壁が、彼にとっては日常であり、私たちが愛おしく思う友人の笑顔が、彼にとっては汚物にまみれた怪物に聞こえる。この徹底した知覚の反転が、プレイヤーを否応なしに孤独な主人公の味方へと仕立て上げていくのだ。

ただ、この雰囲気がなければこの名作は生まれなかった。

そしてこのゲームの特徴として、グロシーンを画面に直接見せるのではなく、文字で表現し、ユーザーが想像して楽しむことがある。TrueEndでも、その後どうなるのかは、ユーザーが考えて想像を膨らませるのが楽しい。

狂気とはなんなのか

物語が進むにつれ、主人公だけでなく、プレイしている自分自身の感覚も麻痺していくのがこのゲームの恐ろしいところだ。最初はあんなに不快感を抱いていた肉会の描写が、沙耶と過ごす時間が増えるにつれ、不思議と当たり前の光景になってゆく。

自分を救うために沙耶と別れるのか、自分の人間性を放棄し、沙耶とともに生きるのか。
この逃げ場のない2択を選ばなければならない。

最後に

万人受けはしない。だからこそ、刺さる人には刺さる作品だ。
凄惨な描写、倫理に反する展開が続くため、手に取る人を選ぶ。

結局のところ、愛とは共通の言語や外観に基づくものなのか。それとも愛とは言葉では表現できないような複雑なものなのか。
世間一般の正気という地獄でとどまるのか。それとも最愛の人と狂気という名の楽園へと落ちるのか。
読み終えたあと、鏡に映る自分の顔が、果たして以前と同じに見えるだろうか。当たり前に暮らしているこの世界の見え方が変わるのではないか。

プレイ後の余韻は、4時間とは考えられないほど重い。そしてどこか切ない。
狂っているのは世界なのか、はたまた自分なのか。その答えは是非プレイして確かめてほしい。

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